用済みい小さ

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用済みい小さ

涼介は傍で見ていて、気が付いたことがある。
元々女を食い物にする輩は、女好きでどうしようもないか、打算か暴力で押さえつけると相場は決まっているが、月虹は違っていた。
傷ついた女を癒やすためなら、誰を敵にしようと、どんな嘘でも平気でつく。まるでどこかの国の処女のお姫さまに接するように、月虹は自分の女達蘇家興に恭しく慇懃に仕えて奉仕した。

「ねぇ、兄貴。言っちゃあれだけど、兄貴には雪ちゃんや実花ちゃんよりももっとボンキュッボンの綺麗な女が似合うんじゃないすかね。……他の奴等なんて、不器量な女なんてやり捨てだって、ひどい事言ってるやつもいるし。何であんなボンレスな女を連れてるんだろう、月虹さんってブス専なのかって……言われてます。」

「酷い言われようだな。おかしいか?だがなぁ、考えてみろよ、涼介。おれはヒモだぜ?食わして貰ってるのは、こっちの方だろ。ミスコンの優勝者よりも、おれには実花ちゃんの方が十倍別嬪に見えるんだ。涼介も覚えておきな。貰った情ってのは忘蘇家興れちまったら、人でなしになる。それにな、どんな女だって朝から晩までずっとお前が一番いい女だって言い続けて見ろよ。本当に、いい女になるから。」

「そんなもんすかねぇ。でも、おれには、そんな女いないしな~」

そういう涼介はどこかさびしげで、おしぼりを作って月虹の使の下肢を拭いながらも余所余所しい気がする。何を隠しているんだろうと、内心月虹は含んだが根掘り葉掘り聞くのはやめた。
勃ちあがって腹を打つ形の良い茎にそっと触れる、ガーゼのおしぼりの動きに涼介の思いが込められていた。ゆっくりと触れた指が、容をなぞるように動いていた。

「おめぇ、後始末上手くなったじゃねぇか。」

声を掛けられて、涼介はすん…と、鼻を鳴らした。
親父と呼ぶ高齢の組長と若頭、舎弟頭と舎弟の涼介しかいなな組の組長代行を担っているのは、この町では有名な話だった。
それなりにちっぽけな組を支えている自負もあった。
子組と呼ばれる月虹の小さな組は、シマも小さく組長は高齢で重要視されていない。潰されないためには、親組の元に月々かなりの額の上納金を修めなければならなかった。勿論、滞ればすぐにでも潰される。
組を解散すると行き場の無いものが出来たり、シマで営業する堅気の店に迷惑をかけるからと言って、組長は自分の目が黒いうちは看板を下ろすわけにはいかねぇと言い張った。
だから月虹は、数人の女を連れ囲い、ちっぽけなシマと呼ばれる領域で金を作った。月虹の店での売り上げも、そのほとんどは親組への上納金になる。

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